住宅の購入時に、親や祖父母などから資金援助を受けた場合「贈与税がかかるのでは?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
実は一定の条件を満たせば、住宅取得のための贈与については非課税で受け取ることが可能です。
本記事では住宅購入の贈与税は非課税にできるのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- 住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例とは
- 住宅資金贈与の非課税の特例を受けるための条件
- 非課税制度を利用するために必要な書類
住宅購入の贈与税は非課税にできるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例とは?
住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例とは、住宅の購入や新築、増改築を目的として、親や祖父母などの直系尊属から資金援助を受けた場合に、一定の条件を満たすことで贈与税がかからなくなる制度のことです。
本来、贈与税は年間110万円を超える贈与に対して課税されます。例えば2,000万円の資金援助を受けた場合、110万円の基礎控除を差し引いた1,890万円に対して贈与税が発生します。
そのため、高額な住宅取得資金の援助には多額の税負担が伴うことになります。
しかし、住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例を活用すれば、非課税枠が拡大され、一定額まで贈与税を免除してもらうことが可能です。
非課税の上限は、住宅の契約日や建物の性能(省エネ性・耐震性・バリアフリー性など)また、消費税率の適用状況によって異なります。
特に、高い性能基準を満たした住宅であれば、より大きな非課税枠が適用される仕組みとなっているため、条件を満たすことで節税効果が高まります。
この特例を利用するには、一定の要件をクリアする必要があり、税務署への申告も必要です。
住宅購入にあたって贈与を受ける予定がある方は、事前に制度の内容をしっかり確認しておくことが重要です。
住宅資金贈与の非課税の特例を受けるための条件
贈与税がかからない「非課税の特例」を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
以下で解説します。
贈与を受ける人の主な条件
非課税の対象となるには、以下の3つの基本条件を満たすことが求められます。
- 贈与者の直系尊属(親や祖父母など)からの贈与であること
- 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること(※令和4年3月31日以前は20歳)
- 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること
なお、贈与された資金は、翌年の3月15日までに住宅の取得に充てることが必要です。
さらに、取得した住宅にはその年の12月31日までに居住を開始していることも条件とされています。
住宅(建物)に関する条件
受贈者が上記の要件を満たしていても、どの住宅でも特例が適用されるわけではありません。
以下に、新築・中古それぞれの条件をまとめます。
新築住宅の場合
- 床面積が40㎡以上240㎡以下であること
- 40㎡以上50㎡未満の住宅は、受贈者の所得が1,000万円以下であること
- 床面積のうち50%以上が実際に住居として使用されること
この条件は、増築や改築の場合にも適用されます。
中古住宅の場合
- 耐火構造(例:マンション)の場合は築25年以内、木造住宅は築20年以内であること
- 新耐震基準に適合していることが証明されていること
もし築年数が要件を満たしていなくても、耐震補強工事を行い、翌年3月15日までに耐震性を確保できれば適用対象になる可能性があります。
住宅資金贈与の非課税枠の贈与税はどれくらい節税できるのか
住宅購入にあたり、親や祖父母などから資金援助を受けた場合、上手に制度を活用すれば贈与税の大幅な節税が可能です。
節税できる方法を以下で解説します。
夫婦で制度を活用すれば非課税枠が2倍に
この特例は、夫婦それぞれが自分の親(直系尊属)から資金援助を受けるケースにも適用されます。
例えば、夫が1,000万円、妻が1,000万円の贈与を受けた場合、それぞれに非課税枠が適用されるため、合計2,000万円まで非課税で資金援助を受けられるのです。
ただし、住宅の所有権を共有名義にし、それぞれの出資割合に応じた持分で登記しなければ、課税対象となる可能性があるため注意が必要です。
他の制度との併用でさらに節税効果アップ
住宅資金の非課税特例は、他の非課税枠や控除制度と組み合わせて使うことも可能です。
代表的な制度は以下のとおりです。
年間110万円の暦年贈与の非課税枠
住宅取得資金の特例とあわせて活用でき、さらに課税対象額を減らせます。
相続時精算課税制度(最大2,500万円)
生前贈与の分を、相続時にまとめて精算する制度で、条件を満たせば住宅資金特例と併用することも可能です。
この制度にも110万円の非課税枠があるため、組み合わせによって最大3,610万円まで非課税での贈与が可能になります。
住宅ローン控除
ローンを組んで住宅を購入した場合、ローン残高に応じて所得税の控除が受けられる制度です。
毎年の税負担軽減に繋がるため、贈与税と合わせて活用するとより効果的です。
非課税制度を利用するために必要な手続や書類とは
住宅取得のために贈与を受けた際に、贈与税が非課税となる特例を利用するには、一定の手続きと必要書類の準備が求められます。
条件を満たしていても、申告をしなければ非課税の扱いは受けられないため、忘れずに対応することが重要です。
手続きの流れ
この特例を受けるためには、贈与税の申告書を作成し、所定の期限内に税務署へ提出する必要があります。
申告期間は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までとなっており、これを過ぎてしまうと原則として特例は適用されません。
申告書の書き方や提出方法については、国税庁の公式サイトにて詳しく案内されていますので、不安がある場合はそちらを参考にするとよいでしょう。
提出が求められる主な書類
提出書類は個人の状況によって異なりますが、以下のような書類が一般的に必要とされています。
- 住宅取得等資金の非課税特例を適用する旨が記載された贈与税の申告書
- 贈与者との関係を確認できる戸籍謄本
- 住宅の登記事項証明書
- 新築や購入に関する契約書のコピー
これらの書類は、制度の適用要件を満たしていることを証明する資料として必要になります。
場合によっては追加書類を求められることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
また、国税庁では、必要書類の確認に便利なチェックシートも公開しています。
このチェックシートを使えば、自分に必要な書類を簡単に把握できるため、スムーズに準備を進めることができます。
住宅の非課税制度を利用する際の注意点
住宅取得資金の贈与に関する非課税制度は、上手に活用すれば大きな節税効果が期待できますが、使い方によっては将来的な相続税の負担が増える可能性もあるため注意が必要です。
その代表的な例が「小規模宅地等の特例」との関係です。
この特例は、亡くなった方が居住していた土地を配偶者や同居していた家族が相続する場合に、その土地の評価額を最大80%減額できる制度です。
つまり、相続税の大幅な節税が可能になります。
ところが、親と同居していなかった子どもなどが、住宅取得資金の贈与を受けて新たにマイホームを購入・居住してしまうと、この特例の対象外となるケースがあります。
本来は、同居していなかった親族でも、「過去3年以上借家に住んでいる」などの条件を満たせば特例の適用が可能ですが、新築や購入により自宅を所有してしまうと、その条件から外れてしまうのです。
住宅購入資金の贈与税はいくらまで非課税なのかについてのよくある質問
住宅購入資金の贈与税はいくらまで非課税なのかについてのよくある質問は以下のとおりです。
贈与税が非課税になる家とは?
省エネルギー性能などの条件を満たす住宅を取得する場合は、最大1,000万円までの贈与が非課税となります。
一方で、これらの基準を満たさない一般的な住宅については、非課税となる上限額は500万円となります。
住宅購入で2000万円の贈与を受けた場合、いくら贈与税が発生しますか?
2,000万円を贈与された場合、基礎控除の110万円を差し引いた残りの1,890万円が課税対象となり、高額な贈与税がかかる可能性があります。
住宅購入資金の贈与税はいくらまで非課税なのかについてのまとめ
ここまで住宅購入資金の贈与税はいくらまで非課税なのかについてお伝えしてきました。
住宅購入資金の贈与税はいくらまで非課税なのかについての要点をまとめると以下のとおりです。
- 住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例とは、住宅の購入や新築、増改築を目的として、親や祖父母などの直系尊属から資金援助を受けた場合に、一定の条件を満たすことで贈与税がかからなくなる制度のこと
- 住宅資金贈与の非課税の特例を受けるための条件には、贈与者の直系尊属(親や祖父母など)からの贈与であったり、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であることなどが挙げられる
- 非課税制度を利用するためには、住宅取得等資金の非課税特例を適用する旨が記載された贈与税の申告書、贈与者との関係を確認できる戸籍謄本、住宅の登記事項証明書、新築や購入に関する契約書のコピーが必要である
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。