戸籍謄本は、本籍地のある市区町村で取得する必要がありますが、近年では本籍地以外の役所やコンビニでも取得できる「広域交付制度」や「コンビニ交付サービス」などが整備され、手続きがぐっと身近になっています。
本記事では戸籍謄本の取り方とは?本籍地以外でも取れるのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- 本籍地以外で取得できる戸籍謄本について
- 広域交付制度を利用して戸籍謄本を取得する方法
- 戸籍の広域交付の注意点
戸籍謄本の取り方とは?本籍地以外でも取れるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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戸籍謄本とは
戸籍謄本とは、日本の戸籍制度に基づいて作成される、公的な証明書のひとつです。
戸籍とは、日本国籍を持つ人の出生から死亡までの情報を家族ごとに記録・管理する制度で、すべての日本人に戸籍が存在します。
この戸籍に記載された全員の情報を一通で確認できるのが戸籍謄本です。
家族全員の氏名・生年月日・本籍地・続柄などが記載されており、役所などでの手続きや相続、婚姻の際に使用されます。
また、戸籍謄本は別名「戸籍全部事項証明書」や「全部事項証明書」とも呼ばれることがあります。
これに対して、戸籍に記載された一人分の情報だけを抜粋したものは「戸籍抄本(こせきしょうほん)」といいます。
目的に応じて、どちらを取得すべきか確認することが大切です。
本籍地以外で取得できる戸籍謄本
2024年から導入された「戸籍の広域交付制度」により、これまで本籍地の役所でしか発行できなかった戸籍謄本等が、全国どこの市区町村役場でも取得できるようになりました。
よって、遠方に本籍がある方や、引っ越し・婚姻などで本籍地が変わった方にとって、戸籍の取得が格段に便利になりました。
広域交付制度の対象となる戸籍は以下のとおりです。
- 戸籍謄本(全部事項証明書)
現在有効な戸籍の全員分の情報が記載されています。相続や婚姻手続き、就職などの場面でよく使われます。 - 除籍謄本
婚姻や死亡などによって戸籍から除かれた人物が記載された書類で、主に相続や過去の戸籍を確認する際に必要です。 - 改製原戸籍謄本
法改正などにより戸籍の形式が変更される前の記録をまとめたもので、戸籍調査や相続の場面で活用されます。
ただし、誰でも自由に請求できるわけではありません。請求できるのは本人または本人の配偶者、直系の親族(父母・祖父母・子・孫など)に限られ、以下のような制限があります。
- 委任状があっても代理人請求は不可
- 兄弟姉妹やそれ以外の親族は対象外
- 請求は必ず窓口で行う必要があり、本人確認書類の提示が必要
この制度はあくまで“本人が自分や直系家族の戸籍を取得しやすくする”ことを目的としたものであり、他者の戸籍情報を簡単に取得できるわけではありません。
利用する際は制度の仕組みと対象範囲をしっかりと理解しておきましょう。
広域交付制度を利用して戸籍謄本を取得する
戸籍謄本を本籍地以外の自治体で取得できる「広域交付制度」は、遠方に本籍がある方にとってとても便利な仕組みです。
しかし、スムーズに取得するためには、あらかじめ流れや必要な準備を把握しておくことが大切です。
以下では、一般的な取得の手順をご紹介します。
事前確認と予約
まず、希望する市区町村で来庁予約が必要かどうかを確認しましょう。
自治体によっては、混雑を避けるためにオンラインや電話による予約が必須の場合もあります。
また、広域交付の受付時間が通常よりも短く設定されているケースもあるため、公式サイトや電話で事前にチェックするのがおすすめです。
また、当日に必要となる書類も準備しておきましょう。
具体的には、写真付きの公的な本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)が必要です。
また、請求する戸籍の本籍地や筆頭者の氏名、生年月日も確認しておくとスムーズです。
窓口での申請
予約した日時に役所を訪れ、戸籍担当の窓口で申請手続きを行います。
申請用紙に氏名や本籍地、筆頭者名、生年月日などの必要事項を正確に記入し、身分証明書とともに提出します。
不明点があれば、窓口職員に確認しながら記入するのが安心です。
手数料の支払い
戸籍謄本などを取得する際には、1通ごとに決められた手数料がかかります。
一般的な目安は次のとおりです。
- 戸籍謄本:450円
- 除籍謄本:750円
- 改製原戸籍謄本:750円
手数料は自治体によって異なる場合があるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
証明書の受け取り
申請後すぐに発行されるとは限らず、本籍地の市区町村との照会が必要なため、発行までに時間がかかることがあります。
状況によっては後日再訪問が必要となることもあるため、あらかじめ余裕を持って申請しましょう。
受け取った戸籍謄本の内容に間違いがないか、その場でしっかりと確認してください。
記載内容に誤りがあった場合は、その場で修正を申し出るようにしましょう。
なお、取得した書類には個人情報が記載されているため、紛失や情報漏洩に十分注意が必要です。
戸籍の広域交付の注意点とは
広域交付制度は便利な反面、利用にはいくつかの制約があります。
スムーズな手続きのために、事前に知っておきたいポイントをご紹介します。
取得できる親族関係に制限がある
この制度で戸籍を請求できるのは、本人、配偶者、直系の親族(父母、祖父母、子、孫)に限られています。
そのため、兄弟姉妹やおじ・おば、甥・姪といった親族の戸籍を広域交付で取得することはできません。
相続などでこれらの親族の戸籍が必要な場合は、本籍地の役所に直接請求する必要があります。
窓口での本人請求が必須
広域交付は、請求者本人が直接役所に出向いて手続きを行う必要があります。
郵送での申請や、委任による代理人による請求、また弁護士などによる職務上の請求も認められていません。
本人確認が厳しく行われるため、身分証明書を忘れずに持参しましょう。
取得までに時間がかかることがある
本籍地との照会が必要なため、窓口で申請してもすぐに交付されない場合があります。
即日受け取れることもありますが、内容確認に時間がかかるケースでは、数日後の受け取りになることもあるため、余裕をもって手続きを進めることが重要です。
広域交付制度以外での戸籍謄本の取り方
広域交付制度は便利な制度ですが、取得対象が限られているため、すべての戸籍関連書類を取得できるわけではありません。
例えば、個人事項証明書(戸籍抄本)や戸籍の附票、除籍抄本などは対象外となっており、これらを入手するためには別の手段を取る必要があります。
ここでは、広域交付制度以外で戸籍謄本を取得する3つの方法についてご紹介します。
郵送による請求
遠方に住んでいる、または忙しくて役所に足を運べない方にとっては、郵送での請求が便利です。
本籍地の市区町村に対し、必要書類を郵送することで戸籍謄本を取り寄せることができます。
主な手順は以下のとおりです。
- 本籍地の役所のホームページから請求書をダウンロード・記入
- 運転免許証などの本人確認書類のコピーを同封
- 手数料(定額小為替や現金書留)を準備
- 自分の住所と切手を貼った返信用封筒を同封
- 以上をまとめて本籍地の役所へ郵送
処理には日数がかかるため、余裕を持って申請しましょう。
また、自治体によって手続きの詳細が異なるため、あらかじめ確認するのが安心です。
本籍地に直接出向く/コンビニで取得する
本籍地の市区町村に直接行くことで、戸籍謄本をその場で受け取ることができます。
職員に直接質問ができるというメリットもありますが、遠方であれば移動の手間や交通費が発生します。
また、マイナンバーカードを持っていれば、対応しているコンビニで一部の戸籍証明書を取得することも可能です。
ただし、コンビニ交付が利用できる証明書は限られており、事前に利用可能な証明書の種類を確認しておく必要があります。
オンライン申請(マイナンバーカードを使用)
デジタル化が進むなか、自宅にいながら戸籍謄本を請求できるオンラインサービスも整備されつつあります。
マイナンバーカードと対応する機器(ICカードリーダーやスマートフォン)があれば、パソコンやスマホから24時間いつでも申請が可能です。
ただし、利用にはオンライン申請サービスへの登録が必要となり、手続きの流れや対応している証明書の種類、決済方法などは自治体によって異なります。
事前にお住まいの市区町村の公式ウェブサイトで情報をチェックするようにしましょう。
戸籍謄本の本籍地以外での取り方についてのよくある質問
戸籍謄本の本籍地以外での取り方についてのよくある質問は以下のとおりです。
本籍地じゃないコンビニで戸籍謄本は取れますか?
2024年3月1日に施行された戸籍法の改正により、これまで本籍地のある役所でしか取得できなかった戸籍謄本が、住んでいる場所に関係なく他の市区町村のコンビニでも取得できるようになりました。
遠方に本籍がある方でも、近所のコンビニで手軽に必要書類を入手できるようになり、とても便利になっています。
ただし、どこのコンビニでもすぐに取得できるわけではなく、事前の申請手続きが必要です。
マイナンバーカードを持っていることが前提で、各自治体で利用申請を行い、登録が完了していれば、マルチコピー機が設置されているコンビニで戸籍証明書を印刷することができます。
コンビニで戸籍謄本が取れない場合もありますか?
コンビニで戸籍謄本を取得しようとしても、状況によってはうまく発行できないことがあります。
特に、マイナンバーカードの使用ミスやカードの状態不良が原因で発行ができないケースが少なくありません。
誤って運転免許証や保険証など、マイナンバーカード以外のカードを読み取り機に置いてしまうと、当然ながら戸籍証明書の取得はできません。
また、マイナンバーカードが破損していたり、チップの不具合がある場合も、情報が正常に読み取れず、手続きを進めることができません。
さらに、マルチコピー機の読み取り部分にカードが正しくセットされていないと、認識エラーが起こる可能性があります。置き方にも注意が必要です。
戸籍謄本の本籍地以外での取り方についてのまとめ
ここまで戸籍謄本の本籍地以外での取り方についてお伝えしてきました。
戸籍謄本の本籍地以外での取り方についての要点をまとめると以下のとおりです。
- 2024年から導入された「戸籍の広域交付制度」により、これまで本籍地の役所でしか発行できなかった戸籍謄本等が、全国どこの市区町村役場でも取得できるようになった
- 広域交付制度を利用して戸籍謄本を取得する方法は、事前確認と予約をし、窓口で手数料を払った後に証明書を受け取れば完了する
- 戸籍の広域交付の注意点には、窓口での本人請求が必須であったり、窓口での受取に時間がかかる可能性があることが挙げられる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。