土地の相続税評価額は、相続税を正確に算出するための重要な指標です。しかし、その計算方法は複雑で、地域や用途によっても異なるため、多くの人にとって難解に感じられることも。
そこで、土地の相続税評価額の計算について気になる方も多いのではないでしょうか?
本記事では、土地の相続税評価額の計算について以下の点を中心にご紹介します!
- 土地の相続税評価額とは
- 土地の相続税評価額の計算方法
- 土地の相続税評価額の減額方法
土地の相続税評価額の計算について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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土地の相続税評価額とは
土地を相続した際に発生する相続税の計算では、土地の相続税評価額を算出する必要があります。この評価額は、国税庁が定めた基準に基づき、「路線価方式」または「倍率方式」によって計算されます。土地の場所や地域によって適用される方式が異なるため、どちらの方法が使われるか確認することが重要です。
路線価方式
路線価方式は、市街地など路線価が設定されている地域で適用される計算方法です。
- 路線価とは
土地が面する道路(路線)に設定された、1㎡あたりの標準的な土地価格のことです。路線価は国税庁が毎年公表する「路線価図」に記載されています。 - 計算式
相続税評価額=固定資産税評価額×倍率
- 補正率:土地の形状や奥行き、利用状況によって補正される割合です。
- 土地面積:土地の実際の面積を使用します。
特徴
路線価は一般的に実勢価格の80%程度で設定されており、実際の市場価格より低い評価となることが多いです。
倍率方式
倍率方式は、路線価が設定されていない地域で適用される計算方法です。
- 倍率とは
土地の固定資産税評価額に対して国税庁が定めた倍率を乗じて算出します。倍率は地域ごとに異なり、国税庁の「財産評価基準書」で確認することができます。 - 計算式
相続税評価額=固定資産税評価額×倍率
- 特徴
路線価方式が適用されない地域でのシンプルな計算方法で、固定資産税評価額を基
としているため、評価が比較的分かりやすいのが特徴です。
土地の相続税評価額は、相続財産の評価や相続税の計算において重要な要素です。相続税法に基づいて評価される土地の価値は、遺産分割や相続税の申告に大きな影響を与えます。 そこで、土地の相続税評価額について気になる方も多いのではないでしょうか[…]
土地の相続税評価額の計算方法
土地の相続税評価額は、相続税の課税対象となる土地の価値を算出するために、国税庁が定めた評価基準に基づいて計算されます。主に適用される方法は、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類です。土地の所在地や地域の特性によって、どちらの方式が採用されるかが決まります。
1. 路線価方式
路線価方式は、路線価が設定されている市街地などで適用される方法です。
- 路線価とは
路線価は、土地が面する道路(路線)ごとに設定された1㎡あたりの価格で、国税庁が毎年公表する「路線価図」に記載されています。通常、実勢価格の約80%が目安となります。 - 計算式
相続税評価額=路線価×土地面積×補正率
- 補正率:土地の形状、奥行き、利用状況などに応じて調整される係数。
具体例
路線価が30万円/㎡、土地面積が100㎡の場合:
相続税評価額=30万円×100㎡=3,000万円
2. 倍率方式
倍率方式は、路線価が設定されていない地域で適用されます。
- 倍率とは
土地の固定資産税評価額に対し、国税庁が定めた評価倍率を掛け合わせる方法です。評価倍率は地域ごとに異なり、国税庁の「財産評価基準書」で確認できます。 - 計算式
相続税評価額=固定資産税評価額×評価倍率
具体例
固定資産税評価額が800万円、評価倍率が1.1の場合:
相続税評価額=800万円×1.1=880万円
注意点
- 評価方法の適用確認
路線価方式と倍率方式のどちらが適用されるかは、土地の所在地によります。国税庁の公開資料を参照してください。 - 補正や特例の考慮
土地の利用状況や形状、奥行きが特殊な場合、補正率が適用されることがあります。また、貸付地や小規模宅地の特例が適用される場合、評価額が減額される可能性があります。
土地評価額は、相続税の計算や財産の分配に直接影響を与えます。 しかし、土地の評価は、その位置、面積、用途、市場価格など、多くの要素を考慮する必要があります。 本記事では、相続における土地の評価額について以下の点を中心にご紹介します![…]
土地の相続税評価額の減額について
土地を相続する際、その相続税評価額を適切に減額することで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。土地の形状や利用状況によっては、評価額の減額が認められる特例や調整が適用される場合があります。
減額が適用される可能性のある土地の特徴
- 不整形地や変形地
- 形状が良くない土地は利用価値が低いため、評価額が減額される可能性があります。
- 間口が狭い土地や奥行きが長い土地
- 建築の制約が生じるため、評価額が調整される場合があります。
- 狭い道路に面した土地
- 道路幅員が狭い場合、建築基準法上の制限を受けるため、減額が適用されることがあります。
- 私道に面する土地
- 私道の維持管理や通行権の制約がある場合、評価額が減額されるケースがあります。
- 無道路地
- 公道に接していない土地は建築不可の場合が多く、評価額が大幅に減額される可能性があります。
- 傾斜地や崖地
- 地形的な不便や造成費用の負担が大きい場合、減額対象となることがあります。
- 道路との高低差がある土地
- 高低差が大きく、アクセスが困難な土地は、利用制約を考慮して評価額が調整されます。
- 広大な土地(500㎡以上)
- 広大な土地は分割や開発に制約があるため、広大地の特例が適用される場合があります。
- 市街化区域内の田・畑・山林
- 市街化区域にある農地や山林などは、宅地化の可能性が高いため、特例により評価額が調整されます。
- 都市計画道路や区画整理予定地
- 公共事業の計画がある土地は、利用制限があるため、評価額が減額されることがあります。
減額を適用するための注意点
- 専門家への相談
土地の評価減を適用するためには、正確な知識と手続きが必要です。税理士や土地評価の専門家に相談し、適用可能な特例を確認しましょう。 - 必要書類の準備
減額を申請するには、土地の形状や状況を証明する書類が必要です。土地の図面や公図、現地写真などを準備してください。 - 個別の状況に応じた対応
減額が適用されるかどうかは、土地の個別状況により異なります。国税庁のガイドラインや評価基準を確認した上で進めることが大切です。
土地の相続税評価額を減額することで、相続税の負担を大幅に軽減できる場合があります。適用条件や手続きの詳細を理解し、計画的に進めることが重要です。
相続税評価額が減額されやすい土地
土地の相続税評価額は、土地の形状や利用状況、周辺環境によって大きく異なります。特定の条件に該当する土地は、相続税評価額の減額が適用される可能性があります。これにより、相続税の負担を軽減できることがあります。
減額評価の可能性が高い土地
以下のような特徴を持つ土地は、評価額の減額が適用される可能性があります。
- 不整形地
- 形状が不規則で、建築や利用が難しい土地は、評価額が減額されることがあります。
- 広大な土地
- 500㎡以上の住宅敷地やアパート敷地、田、畑などの広大地は、広大地の特例により評価額が減額される場合があります。
- 市街地にある田・畑・山林
- 市街化区域にある農地や山林は、宅地並みの評価が適用され、評価額が調整される可能性があります。
- 私道に面する土地
- 私道負担がある土地は、その負担分が評価額の減額要因となります。
- 接道条件が悪い土地
- 公道に接していない土地(無道路地)や、接道幅が狭い土地は、建築基準法上の制限を受けるため評価額が下がります。
- 傾斜地や崖地
- 傾斜がある土地や一部が崖になっている土地は、造成費用がかかるため、評価額が減額される可能性があります。
- 道路と地面の高低差がある土地
- 道路と土地に大きな高低差があり、アクセスに制約がある場合、評価額が調整されます。
- 環境要因が悪い土地
- 騒音や悪臭、墓地に隣接する土地、電線下にある土地など、心理的・物理的要因で不人気な土地は評価額が減額されることがあります。
- 都市計画道路予定地や区画整理予定地
- 将来的に利用制限がかかる土地は、その制限を考慮して評価額が下がる場合があります。
既に相続税を申告済みの場合の対応
既に相続税の申告が完了している場合でも、土地の評価額が過剰に算定されているケースでは、「更正の請求」により過払い分の税金を還付される可能性があります。この請求は申告期限から5年以内に行う必要があります。
相続税評価額が減額されるかどうかは、土地の個別の状況や法的な条件によります。専門家に相談し、適切な評価方法を適用することで、税負担を軽減できる可能性があります。
奥行価格補正率とは
奥行価格補正率は、土地の奥行き寸法が標準的な長さ(一般的に20メートル)と異なる場合に、土地の評価額を調整するために適用される補正率です。
土地の奥行きが短すぎたり長すぎたりする場合、その利用価値に影響を与えるため、国税庁が定めた「奥行価格補正率表」に基づいて評価額を補正します。この補正は、相続税や贈与税の申告において、土地の適正な評価を行うために重要です。
計算方法
奥行価格補正率は、次の手順で計算に利用されます:
- 対象土地の奥行きを測定
土地の実際の奥行きを正確に測ります。 - 標準奥行きとの比較
標準奥行き(一般的には20メートル)と比較し、短いか長いかを判断します。 - 補正率の確認と適用
国税庁の「奥行価格補正率表」から、該当する奥行きに対応する補正率を確認し、路線価に掛けて評価額を補正します。
奥行価格補正率を利用できる土地
奥行価格補正率を利用できる土地には、以下のような特徴があります:
- 奥行きが短い土地
標準的な奥行き(20メートル)に比べて短い場合、土地の利用価値が下がるため、補正率を適用して評価額を減額します。 - 奥行きが長い土地
奥行きが長すぎる場合も、土地の一部が有効に利用できない可能性があるため、補正率を適用して評価額を調整します。 - 不整形地
奥行き寸法が一定でなく、形状が不規則な土地も、奥行価格補正率を利用して評価額を補正することがあります。 - 路線価が適用される土地
奥行価格補正率は、路線価方式で評価する土地に適用されます。倍率方式を利用する土地には適用されません。 - 補正が必要と判断される土地
土地の形状や利用条件に応じて、補正の必要性があると判断された場合に適用されます。
注意点
- 奥行価格補正率は、土地の評価額を正確に算出するために用いられるため、誤った適用は相続税や贈与税の申告に影響を与える可能性があります。
- 土地の評価が複雑な場合には、専門家(税理士など)に相談することをおすすめします。
奥行価格補正率を適切に利用することで、土地の実情を反映した公平な評価が可能となり、相続税や贈与税の負担軽減につながる場合があります。
土地の相続税評価額の計算に関するよくある質問について
ここでは土地の相続税評価額の計算に関するよくある質問について紹介します。
土地の相続税の計算方法は?
奥行価格補正率は、土地の奥行き寸法が標準的な長さ(一般的に20メートル)と異なる場合に、土地の評価額を調整するために適用される補正率です。
土地の奥行きが短すぎたり長すぎたりする場合、その利用価値に影響を与えるため、国税庁が定めた「奥行価格補正率表」に基づいて評価額を補正します。この補正は、相続税や贈与税の申告において、土地の適正な評価を行うために重要です。
計算方法
奥行価格補正率は、次の手順で計算に利用されます。
- 対象土地の奥行きを測定
土地の実際の奥行きを正確に測ります。 - 標準奥行きとの比較
標準奥行き(一般的には20メートル)と比較し、短いか長いかを判断します。 - 補正率の確認と適用
国税庁の「奥行価格補正率表」から、該当する奥行きに対応する補正率を確認し、路線価に掛けて評価額を補正します。
親の土地を相続したらいくらかかる?
1. 相続税
相続税は、相続財産の総額が基礎控除額を超えた場合に課されます。
基礎控除額の計算式
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基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例:法定相続人が2人の場合
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基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
- 課税対象額の算出
土地を含む相続財産の総額から基礎控除額を差し引いた金額が課税対象となります。 - 相続税率
課税対象額に応じて10%~55%の累進税率が適用されます。
2. 登録免許税
土地の名義変更(相続登記)を行う際には、登録免許税が発生します。
税額の計算式
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登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%
例:固定資産税評価額が1,000万円の場合
コピーする編集する
登録免許税 = 1,000万円 × 0.004 = 4万円
3. 不動産取得税
親の土地を相続する場合、不動産取得税は原則として課されません。ただし、遺贈による取得や特定の条件に該当する場合には課税対象となることがあります。
4. 司法書士や税理士への依頼費用
土地相続の手続きにおいて、専門家に依頼する場合は報酬が発生します。
- 司法書士費用
名義変更手続きの代行費用は、通常5万円〜10万円程度です。 - 税理士費用
相続税申告書の作成を依頼する場合、財産の内容や規模によって10万円〜50万円以上が相場となります。
5. その他の費用
- 固定資産税
土地を所有し続ける場合、毎年固定資産税が課されます。税額は土地の固定資産税評価額に基づき、市町村が算出します。 - 土地の測量費用
境界確定や分筆が必要な場合、測量費用として数十万円がかかることがあります。
節税や費用軽減のポイント
- 小規模宅地等の特例の活用
居住用宅地や事業用宅地に対し、評価額が最大80%減額される特例を活用できます。 - 専門家に相談する
土地相続は複雑であり、節税対策や手続きの効率化を図るために、税理士や司法書士の助言を受けることが重要です。
親の土地を相続する際には、相続税やその他の費用を見積もり、計画的に手続きを進めることが大切です。事前に正確な評価額を把握し、適切な節税策を講じることで負担を軽減することが可能です。
土地を相続しないで放置したままにするとどうなる?
親などから土地を相続しても登記をせずに放置した場合、さまざまなリスクやデメリットが発生します。これにより、法的な問題や経済的な負担が増加する可能性があります。
1. 権利を主張できない
- 相続登記を行わないと、相続人としての権利を公的に証明することができません。
- 第三者がその土地を不当に利用する可能性があり、その際に所有権を主張することが難しくなります。
2. 土地の処分が制限される
- 売却や贈与、担保設定など、土地を利用した処分ができなくなります。
- 相続登記を怠ると、不動産取引に支障が出るため、結果的に土地の価値を活用できない可能性があります。
3. 相続人間でのトラブルの発生
- 登記が行われないと、誰がどれだけの権利を持っているかが不明確になり、相続人同士の争いが発生する可能性があります。
- 時間が経過すると相続人の増加や権利関係の複雑化が進み、紛争の解決が難しくなることがあります。
4. 固定資産税の未納リスク
- 土地の所有者が故人のままだと、固定資産税の納税通知書が相続人に届かないことがあります。
- 税金の滞納が発生すると、延滞税や最悪の場合差押えにつながる可能性があります。
5. 将来的な相続手続きが複雑化
- 登記を放置すると、次の相続時に手続きが複雑化します。
- さらに、未登記のまま次世代に引き継がれると、相続人の数が増加し、手続きや費用が増大する恐れがあります。
6. 法改正による罰則や過料のリスク
- 近年、相続登記の義務化が進んでおり、未登記の場合、過料や罰則が科される可能性があります。
- 法律の改正に伴い、登記を怠ることでさらなる負担が生じることがあります。
対策とアドバイス
- 相続が発生した際には、速やかに相続登記を行うことが重要です。
- 土地の権利関係を明確にすることで、リスクを未然に防ぐことができます。
- 専門家(司法書士や税理士)に相談し、正確で迅速な手続きを進めることをおすすめします。
土地を放置することで生じるリスクを軽減するためには、早めの対応が鍵となります。適切な手続きを行い、土地の権利をしっかりと管理しましょう。
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土地の相続税評価額の計算についてのまとめ
ここまで土地の相続税評価額の計算についてお伝えしてきました。
土地の相続税評価額の計算の要点をまとめると以下の通りです。
- この評価額は、国税庁が定めた基準に基づき、「路線価方式」または「倍率方式」によって計算される
- 主に適用される方法は、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類
- 不整形地や変形地や間口が狭い土地や奥行きが長い土地などが減税されやすい
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。